荒土荒土茶盌
荒土荒土茶盌
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小石の入った荒土を使った手練りの茶盌です。手で伸ばし成形後竹べらで表面をこそいで、器全体にヘラ目を施しています。不規則なヘラ目によるフォルムのおもしろさがあります。釉薬は虫明伝統の松の灰釉を掛け、枇杷色から深味のある若草色に変化し、正面は若草色中心、裏側は枇杷色、中は両方の色がまだらに発色していて、変化に富んで飽きが来ません。口縁を不規則に取り、正面は釉薬の掛かっていない土見せがあり、土本来の荒々しい質感が感じられます。釉薬表面には貫入(かんにゅう)と呼ばれるヒビが入り、重厚感があります。フォルム・土・釉薬の全てが魅力的な味のある茶盌です。
桐箱付/11.4×11.5×10.3(cm)